訪問看護ステーション ケアーズ

ケアーズパートナー専用ページログイン

訪問看護の未来

連載コラム1:訪問看護ステーションと診療報酬改定①~訪問看護ステーションの現状~

■訪問看護の近未来を考える

団塊の世代700万人が後期高齢者になる2025年へむけて、地域包括ケアシステムのかなめとも言うべき訪問看護事業所の量的拡大とその機能強化が待ったなしだ。

公益社団法人日本看護協会、公益財団法人日本訪問看護財団、一般社団法人全国訪問看護事業協会など訪問看護関連3団体は、「訪問看護アクションプラン2025」の中で、「訪問看護師数を、2025年までに現在の3倍程度(約15万人)に増やすことを目標とする」ことを謳っている。いよいよ訪問看護師が地域で活躍する時代が目前に迫っている。本連載コラムを通じて訪問看護の2025年の近未来について一緒に考えて行こう。

■量的拡大傾向、しかし多くが小規模

まず訪問看護事業所の現状を振り返ってみよう。2015年4月現在の訪問看護事業所数は7,739で、病院・診療所からの訪問看護1,617を合わせると9,356である。訪問看護事業所数は2012年の診療報酬改定が訪問看護の充実強化への追い風となり量的拡大に転じている。

ただ病院・診療所に併設した訪問看護は依然、減少が続いている(図1)。病院・診療所に併設した訪問看護は7対1入院基本料が始まった2006年改定以降、病院の訪問看護師が病棟へ引き上げられる影響もあってその減少に歯止めがかからない。201602_1_01.png

都道府県別の訪問看護事業所数はと言うと人口10万人あたり6.2軒、高齢者人口10万人当たりでは23.9軒である。その分布は明らかに西高東低、これから高齢化が進む首都圏の落ち込みが目立っている(図2)。 201602_1_02.png

そして訪問看護事業所の看護職員数は1軒あたり平均2.6人であり、5人未満の小規模訪問看護事業所が全体の6割を占めている。こうした小規模訪問看護事業所では24時間対応体制を取れないところが2割程度ある(図3)。 201602_1_03.png

また訪問看護事業所の利用者数は医療保険、介護保険ともに急増している。医療保険利用者は17万人以上、特に後期高齢者の利用者数の伸びが顕著だ(図4)。一方の介護保険利用者は38.5万人で、介護保険:医療保険の利用者数の比率は介護2:医療1の比率となっており、まだまだ介護保険優位ではある。 201602_1_04.png

■大規模化を狙った機能強化型の新設

2014年診療報酬改定では、こうした小規模の訪問看護事業所の大規模化、24時間体制化を目指して新たに機能強化型訪問看護ステーションが新設された。機能強化型訪問看護ステーションでは、常勤看護職員数、24時間対応体制、看取り件数、重症利用者数、ケアマネジャーの配置などが評価の対象となり、常勤看護師数7人以上の機能強化型訪問看護管理療養費1(12,400円)、常勤看護師数5人以上の機能強化型訪問看護管理療養費2(9,400円)が新設された。機能強化型訪問看護ステーションの2014年改定における要件を以下の表に示す。

<表 機能強化型訪問看護ステーションの施設基準(2014年診療報酬改定)>
機能強化型訪問看護管理療養費1
  1. 常勤看護職員7人以上(サテライトに配置している看護職員も含む)
  2. 24 時間対応体制加算の届出を行っていること。
  3. 訪問看護ターミナルケア療養費又はターミナルケア加算の算定数が年に合計 20 回以上(看取り件数)。
  4. 特掲診療料の施設基準等の別表第7(※)に該当する利用者が月に 10 人以上(重症利用者数)。
  5. 指定訪問看護事業所と居宅介護支援事業所が同一敷地内に設置され、かつ、当該訪問看護事業所の介護サービス計画が必要な利用者のうち、当該居宅介護支援事業所により介護サービス計画を作成されている者が一定程度以上であること。
  6. 地域住民等に対する情報提供や相談、人材育成のための研修を実施していることが望ましい。
機能強化型訪問看護管理療養費2
  1. 常勤看護職員5人以上(サテライトに配置している看護職員も含む)
  2. 24 時間対応体制加算の届出を行っていること。
  3. 訪問看護ターミナルケア療養費又はターミナルケア加算の算定数が年に合計 15 回以上(看取り件数)。
  4. 特掲診療料の施設基準等の別表第7(※)に該当する利用者が月に7人以上(重症利用者数)。
  5. 指定訪問看護事業所と居宅介護支援事業所が同一敷地内に設置され、かつ、当該訪問看護事業所の介護サービス計画が必要な利用者のうち、当該居宅介護支援事業所により介護サービス計画を作成されている者が一定程度以上であること。
  6. 地域住民等に対する情報提供や相談、人材育成のための研修を実施していることが望ましい。
(※別表7は図6を参照)

さて現在、これらの機能強化型訪問看護事業所はどれくらいあるのだろうか?その数はなんと全国7,739 軒の訪問看護事業所のうち機能強化型訪問看護管理療養費1が137軒、機能強化型訪問看護管理療養費2が171軒、合わせて308軒と、訪問看護事業所全体のわずか4%しかない。そしてその分布は大都市圏に集中していることがわかる(図5)。201602_1_05.png

加えて機能強化型訪問看護ステーションでは医療ニーズの高い利用者が多いことが分かる。ちなみに在宅医療における医療ニーズについては別表7の疾患項目、別表8の処置項目が使われている。別表7、別表8を図6に示す。この項目は療養病床における医療区分の考え方と同様、疾患項目と処置項目によって患者状態像を表す方式である。 201602_1_06.png

また機能強化型訪問看護ステーションでは「他施設、他職種との地域連携」、「係っている事例以外の相談対応」、「訪問看護の実習生の受け入れ」などにも活躍していることが明らかになっている。

さて次回のコラムでは、2016年改定で変わるこうした機能強化型訪問看護ステーションの診療報酬、これを見ていくことにする。

参考文献  厚生労働省ホームページ 中央社会保険医療協議会 総会(第312回)資料「在宅医療その4」2015年11月11日 http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000103646.html (2015年12月13日閲覧) 中央社会保険医療協議会診療報酬改定案答申「個別改定項目」2016年2月10日 http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000111936.html (2016年2月10日閲覧)