ドクターの接遇、なぜ悪い??現役ドクターに聞きました。相手も自分も責めないワンランクアップのコミュニケーション術とは 

ドクターの接遇、なぜ悪い??現役ドクターに聞きました。相手も自分も責めないワンランクアップのコミュニケーション術とは

こんにちは。TNサクセスコーチングの奥山 美奈です。

今回は私たち医療者の接遇が悪くなるのはどんなときなのかを考えてみることにしましょう。クレーマーみたいな患者さんと接した時や、上司や同僚との人間関係が上手くいかない時、他部署との無用な軋轢などなど・・・。

またはチームの仲間であるはずの医師から蔑まれたりすると、私たちのモチベーションは下がり心の余裕をも失ってよい看護ができなくなったりします。

私が看護師だった頃、オペ室で執刀医にペアンを投げつけられ、:おい、お前。脳みそ入ってんのか!もう一回やったら開頭してやるからななんて言われたことがありました(泣)。

なによりモチベーションが下がったのは、私が夜勤の時、喘息発作で起座呼吸の患者さんが救急外来を受診されたときでした。苦しそうな患者さんを早く診てもらいたいとアルバイトの当直医に電話してもずっとどこにいるのか全然、連絡がとれませんでした。

しかたなく放送で呼ぶとすぐに当直医は来てくれましたが、目の前の患者さんをほったらかして、開口一番:今、全館放送かけたのあんた?と私に怒りをぶつけてきました。チーム医療のトップであるはずのドクターのモラルの低さに愕然としてしまいました。

最近の若いドクターは接遇のよい方も増えたのでとってもいい傾向だと思いますが、ここまでひどくはないにしてもまだまだドクハラ(?)は存在しています。

今回は小倉第一病院の接遇委員会の委員長である石井先生と、ドクターの接遇に関して考えていきたいと思います。


                       
奥山:石井先生、ドクターってなんで接遇悪い人が多いんですか?


石井:いきなり聞きにくい事、はっきり聞いてくるねぇ(笑)。僕らが若い頃は接遇いい外科医なんてほとんど見た事ないもんね。


なんでそうなっちゃうんですかねぇ・・・。医は仁術じゃないですか。博愛の精神はどうしちゃったんですか、博愛は!


うーん。特に外科医なんかは『治してナンボ』ってとこあるからね。

腕がいいとどんなに接遇悪くても患者さんが『ありがとうございます』って頭を下げてくれちゃう。外科医ならどんなに難しい手術でも『絶対成功させてやる!』って気も強いしね。

そして上手くいくと『ほうら、どうだ!』にもなるし、当時は周りの先輩や教授の中にも、接遇がいい人はすごく少なかったから、そういう人をモデルにしていつしか自分もそうなるのかもねぇ


なるほど。環境要因が大きいってわけですね。でも、看護師は自分のチーム医療の一員じゃないですか、なのになんで我々をボロクソに言ったりするんですか。ドクハラですよ、ドクハラ。


さすがに今の若い医者はそうでもないでしょ?

僕らの若い時は医者の世界って言ったらもうすごいパワハラなのね。教授に逆らったりしようものなら『この近辺では働けないようにしてやる!』って圧力かけられたりね(笑)日々ストレスとパワハラな環境。

またそこに看護師さんを顎で使う先輩を見て育ったりすると疑問を感じなくなったりするのかもね。僕はありがたいことに環境がよかったから、そんなこと言われなかった。だから接遇いいでしょ。

それに僕は、医者になりたての頃、バリバリの病棟師長さんがいておむつ交換やら清拭やら一緒にさせられたんだよね(笑)これからの医者はこういうができないとダメだって。

あの経験は今となっては本当にすごくよかった。ナースの事情もわかるようになったしね。チーム医療って自分達(医師)だけじゃできないって痛感したし。


そんなパワハラな世界なんですね。虐待を受けると虐待してしまう的な感じなんですかねぇ。


そう考えて許してあげて(笑) 外科系なんて特にそうかもしれないけど、やっぱ『腕でしょ』ってのがあって。下手に優しい?ペコペコ?そういったのに逃げんな的なところもあるかもしれない。そんなとこより『腕みがけ』っていう・・・。


なんか少しだけ理解できてきたような、、、。オペ室の時、鈎持ちしてた先生がよく居眠りしてて怒鳴られないように起こしてあげたのに、術者になった途端、『あれだせ、これだせ、何回も言わせんな!』なんて威張るようになって本当に頭にきたことありました。何度も助けてあげたのに(笑)って。


そりゃダメだね、恩は返さないと。でも新人の頃なんか自信もないのに責任だけは大きくなるから周りに気を使っている余裕がまったくないんだよね。もう必死。そういうのもあるかもしれない。



命を預かるんだもん責任重大ですよね。そう思うと、ドクターの中には医局に寝泊まりしてんじゃないかって人も多いですもんね。当時はどんだけ病院好きなの?って陰口言ってましたけど、よく考えたら医者が少ないから勤務が大変なんですよね、きっと


そうなのよ。医者になりたての頃なんてホントに給料も安いし、激務なのに帰れないしそれはそれは大変なんだよ。

僕らの頃の研修医は『1日いくら×月20日ちょっと』みたいな給料だったから、時給計算したらマクドナルドのバイトの方が上だったりしたからねぇ。医者の労働環境ってホント、よくないんだよ。身近にいるナースくらいには解って欲しいって甘えもあるのかな。


うーん。看護師の頃にこういう話をちょっと聞いてたらよかったです。そしたら少し横暴なドクターも許せたかも。でも石井先生は接遇いいじゃないですか。ドクターが接遇委員会の委員長になるってまだまだ少数派ですよね?


これからこんなふうに本当のチーム医療ができるように医者も看護師も分かり合えるようにしていかなくちゃいけないと思う。僕ら看護師さんいないと困るし。ただ世代ってやっぱりあるから、僕らくらいの世代から変えていかなきゃいけないと思う。

でも医者って医者のいう事しか聞かない、聞けないってとこあるのね。だから僕は、接遇委員長を引き受けたワケですよ。患者さんはもちろんだけど、一緒に働くスタッフへの接遇も大切にして本当の意味でもっともっとディスカッションしてチーム医療をやって行く時代なんだということを僕らで発信していけば変わってくるよ。がんばりましょう


そうですね、心強いです。我々から発信していけばいいんですよね。私はクリニック開業時の接遇トレーニングなんかもよくお引き受けしますが、開業される先生ってとっても親切で接遇もいいんですよね。

経営にも関わってくるから真剣になれるんですよね、きっと。ドクターと患者さんのこと本音で話し合って少しでもいい看護を提供したいって心から看護師は思ってるんです。石井先生、今後ともいろんな方面で一緒に考えていってください。よろしくお願いします

我々の永遠のテーマでもある医師との関係。悩んでいる方も多いのではないでしょうか

まずは、身近にいる気さくなドクターといい関係を保つことからはじめてその輪をドンドン広げていくようにしたいものです。

でもなお、ドクハラなドクターがいる所ではセルフコーチングで自分の引き下げられた気持ちをブレークしてから患者さんや同僚と関わるようにしましょう。

誰かに自分の価値を引き下げられたままで他の仕事をしたり、誰かに関わってしまうとその気分を引きずっているので仕事でミスをしたり、患者さんや部下にキツイ言葉を言ってしまったりするようになります。

なので、1分か2分あれば自分のモチベーションを上げられるようにトレーニングしておくことをおススメします。私はメンタルが弱いからそんな短い時間じゃ切り替えられない。そんなふうに思う方もいらっしゃるかもしれません。でも、できるようになるんです。トレーニングと準備をしておけば必ずできるようになります。

私はこれまでテニスで全国大会に4回ほど出場しています。国体の代表選手となると都や県が肩にかかってきます。自分の県を勝たせようと応援団も必死になり、テニスコートには醜いヤジが飛び交います。そのヤジにいちいち落ち込んでいたら相手には絶対に勝てません。1分か2分のコートチェンジで嫌な気分を切り替えられないといけません。

アスリートは最初からメンタルが強い訳ではありません。メンタルトレーニングを重ねた結果として強くなるのです。

私がお伝えしているセルフコーチングのテクニックには、いい体験を思い出して体の一部に覚えこませ、覚えこませたその部分を触ると嫌な気分が切り替えられる(アンカーリング)というものや、嫌な場面をスマホの画面を切り替えるようにいい場面と切り替えたりするものもあります。(ビジュアルスイッシュ)そんな魔法のような切り替え方もありますが、日常で簡単にできるのは、動物好きな方なら自分の飼っているペットの動画や写真を見たり、楽しかった旅行の写真をみたり、大好きなアーティストの写真をみたり曲を聞いたりすることで気分は2分もあれば変えることができます。

忙しい職場で働く我々ではありますが、トイレにいく時間くらいは取れるもの。弱り目に祟り目といった状況を引き寄せないためにも、誰かに引き下げられた気持ちは、セルフコーチングですぐに引き上げておくことが何よりも大事です。

もともと患者さん思いの私たちは自分自身に余裕があれば、患者さんにとことん親切にできるわけですから、チーム医療を構成するメンバー、つまりスタッフ間でお互いを思いやって、いい関係をつくることが医療者の接遇を考える時の大前提なのかもしれないと、私はそんなふうに思います。皆さんはいかがですか。


医療法人真鶴会 小倉第一病院 形成外科部長    
石井 義輝氏     
ハッピー思いやり委員会(通称ハピおも)の委員長。
ニックネームは:神。2017年経営学修士(MBA)取得。
大分医科大学卒業。前大手町病院副院長


講演概要

【開 催 日】 5月19日(土)
【開催時間】 13:30~17:00
【開催場所】インキュベクス株式会社 本社研修ルーム
【 住 所 】横浜市港北区新横浜2-2-15 パレアナビル3F
【アクセス】会場までのアクセス
(新横浜駅より、徒歩4~5分ほどの場所です)

【参 加 費】 無料

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